俺のボディガードは陰陽師。~第二幕・幸福論~




車が来ないのを確認して、道路を走って横断する。

歩道の片隅で一人、佇んでいる薫のもとへと駆け寄った。



「薫!」



呼び掛けると、こっちに背を向けていた薫はチラッと振り返る。

しかし、また背を向けてしまった。



…なずなと軽く戦ってしまって、ちょっと放置してしまったが。

薫は…なずなに攻め立てられ、だいぶ傷付いているはずだ。



《この騒ぎは…あんたの仕業だ。宮内薫さん》

《…この一連の件は、狂言だ。宮内さんの。…全部、あんたの嘘だよ》



…俺は、信じられないのだ。



本当に、薫がそんな嘘をついていたっていうことが。



だって…薫がそんな嘘をついて、どうするんだ?

俺の気を引くためとか何とか、なずなは言っていたけど。

薫が俺の気を引くために嘘をつくメリットなんて皆目見当がつかない。



だから、全然ピンとこないんだ。



…でも、だからと言って、なずなの陰陽師の力を信じていないワケじゃない。

その力で俺は、命も心も救われた。



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