俺のボディガードは陰陽師。~第二幕・幸福論~
「あの子は…ある意味、健気だよ」
「け、健気…?」
俺の抜けた声を聞いて、クックッとママは笑った。
まるで、こっちのリアクションを見透かしていたかのように。
「まあ、あのチャラついた見た目に、偉そうな口振りだ。そんな誠実なイメージの言葉とは結びつかないだろう?」
「え、あ…」
「しかし、その見た目と口振りは『強さ』のアピールだ。強くないと人の一人も護れないとでも思ってるんだろう?…でも」
そう言って、ソファーで報告作業をしているなずなをまるで母親のように見守る。
…おじさんだけど。
「…そんな家庭環境と、あの子の信条が噛み合わなくて、不憫でならないよ。アタシは」
でも、それは…ほんの少し、寂しそうで。
「陰陽師である父親の背中を追って、弱音を吐かず、涙も見せず、自分を省みず頑張ってるのにさ…?」
煙草を一口、口につける。
また、深く煙を吐いた。
まるで、思いを吐き出す、深いため息のように。
「母親は自分を置いて故郷に帰るわ、父親は敵さんにやられて病院から出られなくなるわ、そんな過酷な運命背負ってさ?まだ15の女がだよ?…この子は、どこに拠り所を持っているのか、とアタシは思うよ」