俺のボディガードは陰陽師。~第二幕・幸福論~
なずなが、危ない!
…その時、胸がドクリと波打って。
あのババア(ジジイですけど)のセリフが頭に過る。
《強くないと人の一人も護れないとでも思ってるんだろう?》
《…この子は、どこに拠り所を持っているのか、とアタシは思うよ》
《あの子…レスラーのマスク被ったまま戦い続けてると、そのうち壊れるよ》
…ようするに、ママが言いたかったのは。
護ってばかりのなずな。
『強気』を振りかざすばかりのなずな。
常に暴走している状態だから、そのうちブッ壊れる。
拠り所がないと。
誰かが、支えてやんないと。
…だろ?
(…くそっ!)
頭になぜか浮かんだババア(だから、ジジイ)の映像を振り切るかのように。
前に一歩、踏み込んで。
なずなを掴み上げる長身スーツ姿のその手を掴んで、おもいっきり振り払う。
予想していないサプライズ攻撃に、長身スーツ姿はその手を離して後方に揺れた。
手を離れたなずなは、「わっ!」と驚く声をあげ、床に落ち尻餅をつく状態となっている。
「…伶士!」
「…下がってろ!」
俺だって、戦えるんだよ。
その為なら。