俺のボディガードは陰陽師。~第二幕・幸福論~

「得体の知れない女子高生が、木嶋さんに…?まさか、隠し子とか名乗り出るんじゃねえだろな?!何を企んでる!」

「隠し子?木嶋には無理だろ。だって、あいつホ…」

「その続きは語らせねえ!」



よくわからないやり取りではあったが、上下ジャージを怒らせるには十分だったらしい。

カッとなった彼はとっさに手が出て、なずなの胸ぐらをガッと掴んでいる。

(あっ…!)



「…ああっ!」

悲鳴をあげたのは、男の方。

掴んだ手をあえて引き寄せると共に、もう一方の手で相手の肘を下から押し上げるように掴んでグルンと回す。

男の腕が180度ひっくり返り、掌が上になっていて、なずなから手を自然と離していた。

護身術?なんて手早い!

女のくせに。


と、思ったのも束の間。


「…このっ!」

すかさず、集団の奥からスーツ姿の長身の男が出て来て、なずなのコートの襟を掴み上げる。

相手はタッパもあり、力もあるのか、なずなの体が宙にフワッと上がる。

…ああっ!

「…くっ!…離せ!離せよ!」

宙に浮いた状態で、ジタバタしているが手を振り払ってもなかなか離して貰えない状態だ。

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