千景くんは魔法使い



「花奈ー!」

待ち合わせ場所の市民プールに行くと、すでに桃ちゃんが待っていた。

「ハア……ごめんね、遅くなっちゃって」

クローゼットの奥で眠っていた水着を引っ張り出していたら、遅くなってしまった。

「急に誘ったのは私だし、走ってこなくても大丈夫だったのに」

「ううん。桃ちゃんにも早く会いたかったから」

「本当に?私が彼氏だったら今ので絶対に抱きしめてた」

「はは、なにそれ」

私たちはさっそく市民プールの中へと入った。

中学生以下は無料で、高校生は380円。一般でも580円と入場料も安いので混んでいることは予想していたけれど……。人の数は想像以上だった。

私たちはすぐに女子更衣室に向かい、水着へと着替えた。

私の水着は小学生の時に買ったもので、体型が隠れるワンピースタイプ。

水玉模様で、当時はお気に入りだったけれど、今の自分が着るとかなり子供っぽく見える。

「わあ、花奈の水着可愛いじゃん!」

「そ、そうかな……?」

一方の桃ちゃんは背中がざっくりと開いている黒色の水着だった。

大人っぽいし、綺麗だし、なによりスタイルがよくて本当に羨ましい。


「あ、そうだ。言い忘れてたんだけど、後から他のメンバーも来るからね」

桃ちゃんが髪の毛を結びながら言った。

「他のメンバーって?」

「それは来てからのお楽しみ」

桃ちゃんに教えてもらえないまま、プール広場へと向かった。
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