千景くんは魔法使い


【とくになにもしてないよ】

【じゃあ、ちょっと俺と秘密のことしない?】

……秘密のこと?

なんだろうと首を傾げていると、ベランダからガタッと音がした。ビクッとして、私は体を硬直させる。

ど、泥棒かもしれない……と、息を呑みながら、私は摺り足でベランダに近づいた。

白いカーテンに手を伸ばして開けてみると……。

「え?」

私は驚いて、すぐに窓を開けた。


「急に来ちゃってごめんね」

ベランダと隣接してる木の上に、千景くんがいた。

太い枝に体重をかけて座っているその姿に目を奪われる。


「そんなところにいたら危ないよ。っていうか、なんで千景くんがここに……」

「しー」

声が大きくなっている私に注意するように、千景くんは自分の唇に人差し指を当てた。

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