一夜の過ちで授かったら、極上御曹司に娘ごとたっぷり溺愛されています

「え?」
急に切り出した私に専務が驚いたように私を見た。

「私が体調を崩したことを気にしているのなら、もう充分です」
同情や謝罪の気持ちで、こうやって優しくされるのは私としても不本意だ。

「そんなじゃないよ」
しかし専務は少し考えるような表情をしたあと、私の言葉を否定した。

「でも……同情とかは私は……」
そう言った私をなぜかジッと専務は見つめる。

「うーん、うまく言えないな。でも同情とかそう言う気持ちではない。俺はもっと二人を知りたいそう思ってる」
まさかこんな答えが返って来るとは思っていなかった私は、知らずに顔の熱が上がる。
いつもの柔らかな笑顔ではなく、真っすぐな瞳に見つめられて私は何も言えなくなる。

「迷惑かどうかはきかない。どうせ咲綾は迷惑っていうだろうからね」
そこまで言うと、フワリといつもの笑顔を向けた。
< 117 / 299 >

この作品をシェア

pagetop