一夜の過ちで授かったら、極上御曹司に娘ごとたっぷり溺愛されています
しかし、ドアが開くことなく真翔さんは、うちの小さなエントランスの方へと行ってしまった。
「真翔さん?」
そんな真翔さんに、私も車から降りたところで、一人の男がすごい勢いで走って来るのが見えた。
チラリと見えた顔に、なんとなく見覚えがあるような気がして、私は何事かと立ちすくむ。
「咲綾、車にいろ!」
「え?」
只ならぬ状況になにもできない私に、真翔さんはその男を追いかけるのをやめ、私の方へとくるとギュッと抱きしめた。
「真翔さん。何が?」
「咲綾、ちょっと確認して」
私をいたわる様に真翔さんはそう言うと、私の腰に手をまわしたまま、エントランスへと促す。