一夜の過ちで授かったら、極上御曹司に娘ごとたっぷり溺愛されています
「犯人はすぐには見つからないと思う」
車に戻ってきた真翔さんはそう言うと、私を心配そうにのぞき込んだ。
「見たことはある気がするんだよね?」
優しい言い方にも、私は恐怖からただ頷いていた。
だれ?
どこで会った?
何?
そこで真由がうーんと目を覚まし、私はハッと我に返った。
「まなくんは?」
のんきな真由の声に、私は返事ができなかった。
「真由ちゃんここ」
真翔さんが運転席から顔を出すと、真由は嬉しそうに声を上げた。
「咲綾大丈夫?」
心底心配したような専務の表情に、私はなんとか頷くとカバンを手にした。
これ以上、この人に迷惑をかける訳にはいかない。