一夜の過ちで授かったら、極上御曹司に娘ごとたっぷり溺愛されています

「咲綾はまだワインでいい?」
「はい」
返事をした私だったが、不意に口の中にキューブ型のチーズが入れられる。

「これ、うまいよ」
そう言いながら真翔さんも口に入れる。
チーズ好きの私は、ついついそのおいしさにワインも進む。

「この映画、俺みてないな」
触れそうだが触れることのない距離に真翔さんは座ると、缶のままビールを口に運ぶ。

4年前のあの日は趣味の話や、好きな音楽の話など、どうでもいい話で盛り上がった記憶があるが、今はゆったりとした時間が流れている。

それが心地よくてなぜか切なくなり、私は映画に集中していた。
しかし、久しぶりの赤ワインは少しずつ思考を奪っていく。
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