一夜の過ちで授かったら、極上御曹司に娘ごとたっぷり溺愛されています
涙が零れ落ちそうになるのを何とか耐えていると、4年前の感情がよみがえる。
そうよ、4年前一瞬で恋に落ちたのよ。
そして、また今も……。
それを……。それを……。すべて踏みにじっていくのはあなたじゃない。
それに自分だって、女嫌いになるほど好きになった人がいたんでしょ?
その人にひどい目にあったって……。
そんな人に、そんな人にこんなこと言われたくない。
怒りが最高潮になり、私は声を上げていた。
「ふざけないで! 私のことなんてなにもわからないくせに!」
バンと机をたたくと、私はもうその場にはいられなかった。
「咲綾!」
焦ったような、真翔さんの声が後ろから聞こえたが、振り返ることなく自分の部屋へと逃げ込んだ。
ドアを閉めたところで、嗚咽とともに涙がとめどなく溢れる。
「真翔さんなんて……大嫌い……」
ズルズルと扉の下に座り込み、真由を起こさないように口元を抑える。
「咲綾……ごめん」
扉一枚向こうで、小さな声が聞こえたが、私は何も言えなかった。