一夜の過ちで授かったら、極上御曹司に娘ごとたっぷり溺愛されています
「おっしゃっている意味が解りません」
「だって、真翔とお付き合いしてるんでしょ? 今日も車で一緒に出勤してたし。シングルマザーなのによく誑し込んだよね。鉄壁のガードの真翔を落とすなんてやるじゃん。確かにきれいな顔してるし。スタイルもいいし。所詮真翔もその辺の男だったわけだ」
「下品なこと言わないで!」
ついに怒りで私は叫んでしまった。慌てて口元を抑えて俯くとなぜか嬉しそうにその人は笑う。
「知ってた? 親族たちが焦れて俺か真翔に令嬢との見合いを企ててるの。まあいわゆる政略結婚てやつ。松永さんのこと、俺も興味持っちゃった。真翔にその見合い譲ってもいいよ。君が俺のところに来るならね」
それだけを言うと、蓮人さんは立ち上がった。
何をバカなことをいってるの?
そう言いたい私だったが、頭の中がグチャグチャだった。
今この人に言われたことを、すべて私が否定することなどできない。
副社長も真翔さんも、大村グループの為に必死に働いている。
何の関係もない私が、何を言えるのだろう……。