一夜の過ちで授かったら、極上御曹司に娘ごとたっぷり溺愛されています
「そんなのはいいんです。それより……」
「それより?」
真翔さんが先を促すように、私に問いかける。
「真翔さんがお見合いしないとあの人が社長に……」
そこまで言ったところで、真翔さんの雰囲気が一気に冷たくなった気がした。
「あの人がそういったの?」
真翔さんの低い声に、私は真意がわからずとりあえず小さく頷く。
「真翔さんにお見合いを譲ってもいいけど、そのかわり……」
そこまで言ったところで、真翔さんは明らかに怒りに満ちた瞳をした。
「お前がこっちに来いとか言われた?」
無言は肯定と受け取ったのだろう。真翔さんはそのまま私をジッと見据える。
「咲綾はどう答えた?」
「どうって……」
明らかに真翔さんの纏う空気が変わり、私はどうしていいかわからず俯いた。