余命2ヶ月の少女は総長と恋に落ちる


.


「ねぇ蒼野、好きだよ」

「俺も、大好き」


いつものキスだって、いつもの倍くらいに長くなった。

好きという気持ちが溢れるほど、
死ぬ怖さが大きくなってたくさん泣いた。



絢兎くんと新さんは、色んなことを教えてくれた。

ゲームのこととか過去のこととか
蓮華のこととか。


泣きたいときは、背中をさすってくれた。




そんな日が続いたある日。


5月17日のことだった。



また、あの夢を見た。




この前と違ったのは、この倉庫にお母さんとお父さんがきていたこと。


あぁ、もうわたしはここまでだなと

察してしまった。



もう、死ぬんだ。

迎えがきてしまうんだ。




「透花、おはよう」

このおはようを聞けるのも、最後なのかな。

「おはよう、蒼野」


蒼野はわたしをじーっと見つめると、

「蒼野っていうのやめねぇ?健斗でいいし」


健斗…なんだか不思議な感じがする。



「健斗!健斗!けーんと!」

「っ、やめろ…」


健斗の顔が赤かった。

健斗の頬が染まるの、見れてよかった。


< 33 / 45 >

この作品をシェア

pagetop