余命2ヶ月の少女は総長と恋に落ちる
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「ねぇ蒼野、好きだよ」
「俺も、大好き」
いつものキスだって、いつもの倍くらいに長くなった。
好きという気持ちが溢れるほど、
死ぬ怖さが大きくなってたくさん泣いた。
絢兎くんと新さんは、色んなことを教えてくれた。
ゲームのこととか過去のこととか
蓮華のこととか。
泣きたいときは、背中をさすってくれた。
そんな日が続いたある日。
5月17日のことだった。
また、あの夢を見た。
この前と違ったのは、この倉庫にお母さんとお父さんがきていたこと。
あぁ、もうわたしはここまでだなと
察してしまった。
もう、死ぬんだ。
迎えがきてしまうんだ。
「透花、おはよう」
このおはようを聞けるのも、最後なのかな。
「おはよう、蒼野」
蒼野はわたしをじーっと見つめると、
「蒼野っていうのやめねぇ?健斗でいいし」
健斗…なんだか不思議な感じがする。
「健斗!健斗!けーんと!」
「っ、やめろ…」
健斗の顔が赤かった。
健斗の頬が染まるの、見れてよかった。