愛は惜しみなく与う⑤
「助けてやれって言ってんでしょ!?!?聞こえてないの?いつも言ってるでしょ!その小さい脳味噌で考えろって!!!お世話になってる人には、尽くす!!困ってる人がいたら助ける!!当たり前でしょ!?ついでに私にガン飛ばしたことも、謝りな!」
え?
え?としか、さっきから言えない
俺の横を何かが横切ったと思えば、近くにあったリモコンをハザマさんに投げつけた奥さん
そして
さっきと口調も変わり、まくしたてるようにハザマに怒鳴る奥さん
えっと?なんだこれ
「黙るなって言ってんでしょ!!」
ついにはハザマさんの胸ぐらを掴み出す。おいおい、なんだよこれ
反射的に体が動き、奥さんを止める
俺がハザマさんに喧嘩売ってたのに、なんで立場が逆転してるんだ?
「こら!イケメン、離しなさい!私は今この腑抜けに文句言ってるのよ!!」
今にも殴りかかりそうな奥さんを必死にとめていると、ハザマさんは大きな溜息をついた
「わかったわかった。わかったから、怒らないでくれよ」
眉を下げてそう言ったハザマさんは、普通のただの男だった