愛は惜しみなく与う⑤
そうだったんだ…
そう悲しそうに呟く奥さん


「スコーピオンとは、その時から繋がってる。どうしても切れなくて」


そこでハザマさんは黙ってしまった。
俺もなにも言えなかった


だって、その繋がりがなければ、奥さんを助けれなかったんだろ?
どうしても助けたかったんだろ?
どんな事をしてでも


それは今の俺の状況と同じだったから



「すまない。泉と2人で話させてくれ」

ハザマさんは、赤ん坊を抱っこして奥さんに渡した

お願いだ

もう一言言うと、奥さんは頷いて二階に赤ん坊を連れて上がっていった


まさか

こんな繋がりだなんて思わない



「悪かった。どうしたらいいか俺もわからねぇんだ。スコーピオンから買った情報で嫁さんを助けれた。俺はすぐ嫁さんと恋をしたよ。年齢差なんて関係ない。ただな…

スコーピオンに使えると思われたんだろう。スコーピオンは、嫁さんの当時の写真を持ってるんだ」


「……店で働かされてた時の?」


「あぁ。俺はそれを取り返せなくて…ずるずるとスコーピオンと繋がりを持ったまま、ここまで来てる」


なんだよ

それじゃあハザマさんも脅されてるのか


これじゃなにも言えないじゃねーかよ
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