へたくそなキスのままがいい


「す、するわけないでしょ!?」

「えー、俺は紗和の唇もう少し堪能したいんだけどな」


ペロリと舌舐めずりをした廉に、不覚にもドキンと心臓が音を立てる。


……なによ、色気付いちゃって。

さわ、なんて勝手に呼び捨てにする子じゃなかったのに。


やっとの思いで立ち上がっても、私は廉の顔を見上げないといけない。


3年前までは、確か同じくらいの目線だったはず。



「……廉、いま何歳になったの?」

「うわ、早速ガキ扱いかよ」


見上げたその顔は、私の質問にムッと表情をゆがめた。


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