2度目の人生で世界を救おうとする話。前編





「はいはい。残念だったね」

「何?信じてない?」

「…信じてますが何か?」

「信じてないじゃん」


白い目で蒼を見ていると蒼はますます感情の読めない笑みを私に向けた。何故か目は笑わずに。


「今度こそ目を離さないようにしないと、ね」


そして蒼はそれはそれはもう綺麗な笑みを浮かべた。

蒼の透明感のある明るめの茶髪が窓から降り注ぐ夕陽によってこちらからはキラキラ輝く金髪にも見える。
その姿はまるで絵本から出て来た王子様のようで、綺麗な笑顔とも相まってとても美しい。

だが同時にそんな蒼の姿から何故か暗く、重たい、感情を感じ取ってしまう私もいた。
蒼が身に纏うオーラが非常にドス黒い感じがするのだ。


「…?」


身に覚えがない蒼からの感情に私は再び戸惑った。

この感じは怒っているのだろうか。蒼の冗談を軽くあしらいすぎたのか。
目を離さないとは何なんだ。まるで幼い子どもへ向ける言葉ではないか。
そんな心配される要素なんて私には…


「…おい。もういいか?そろそろ議題に入るぞ」


私たちの会話が一旦終わったところで今度は相変わらずの無表情ながらも呆れたように琥珀が口を開いた。

…そうだ。今日ここへ来たのは蒼や武と訳の分からない口論をする為ではなく、あくまで当主集会を行う為だった。
本来の目的を忘れていた。


「…」


話を大きく脱線させてごめんなさい、の意を込めて私は1人押し黙る。
武も蒼も私と同じ考えなのか黙って琥珀の方を見つめていた。










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