2度目の人生で世界を救おうとする話。前編






「龍に聞きたいことがあるんだけどさ」

『何だ?』

「…1度目の今頃に起きた妖の強化合宿の襲撃のことなんだけど…。知っているよね?」



私は龍との会話の頃合いを見てここ最近ずっと龍から聞き出したかったことを龍へと質問する。

1度目の今頃なら龍はまだ祠に封印されており、現在のようにここから一歩も動けなかった為、この惨劇を知らなかった…とは考えにくい。

何故ならこの惨劇はそれだけ大きな事件で妖の頂点に君臨する龍が知らないはずがないのだ。
どのタイミングで知ったのかはわからないが。



「この襲撃は龍の指示?それとも龍は全くの無関係?」



真剣な表情で私は龍の祠を見つめる。

私はずっとこれを龍に確認したかった。
もしあの惨劇が龍の指示からのものならば今から平和的にあの惨劇を阻止できる可能性があるからだ。



『その襲撃については知っている。…だが、それに俺は全くの無関係だ。この時期の俺にはまだ何の力もない』



すると龍も真剣な声音で私にそう答えた。








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