一途な恋とバックハグ
でもちょっとまって!これ、すごく重くてリールが巻けない。
未だかつてない感触に大物に違いない!と確信したけど私の力では竿が持ってかれそうになる。

「たっ祐さん!助けて!重いっ!」

「え!?ちょっ…待て!」

祐さんも大物が掛かってたみたいでまだ釣竿と格闘していた。
何とか祐さんが来るまで踏ん張ろうと思うけど全然ダメみたい!

「わ~!持ってかれちゃう!」

「頑張って!ほらしっかり竿持って」

ガバッと背中から覆われるように腕が伸びてきて離しかけた竿をガシッと支えられた。
一瞬ホッとしたけど、声も背中に当たる感触もいつもと違う。
ライフジャケット越しでもわかる。これは絶対祐さんじゃない。
横を見れば祐さんがこっちを気にしながらタモで魚を上げてるところだった。
と、いう事は後ろにいるのは輝明さん?

「ゆっくりリール巻いてみて、巻けそう?」

「は、はい…」

耳元で聞こえる声がなんだか色っぽく聞こえてドキリとした。
祐さん以外にこんな後ろから抱きしめられるようなこと無かったからなんだか恥ずかしい。
変にドキドキしてリールを巻く手に力が入んない。

「ん…なかなか回らない」

「これは大物かもしれないよ?もしかしてマグロだったりして」

「え!?」

マグロも食べたい!!
思わず嬉しくなって胸のドキドキなんてすっかり忘れて輝明さんに支えてもらってることをいいことにマグロ!マグロ!と嬉々としながら硬いリールを巻いた。

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