一途な恋とバックハグ
ほんのちょっとだけ、魚の影が見えてきてマグロ~!と思った瞬間だった。

パツンッ!

「わっ!!」

糸が切れて反動で後ろにひっくり返った私達。
輝明さんに抱きしめられる形で尻餅をついて一瞬呆然となった。

「大丈夫?」

「はっ!ごっごめんなさい!」

慌てて起き上がろうとしてもがくけど焦ってるせいかなかなか立ち上がれない

「すみれ!」

「祐さん!」

祐さんに抱き起こしてもらってやっと立ててホッとする。
直ぐに振り返って輝明さんに謝った。

「ごめんなさい輝明さん大丈夫ですか?」

「ああ僕は大丈夫だよ。でも、残念だったねバレちゃって」

「ああ~!私のマグロ!」

船のヘリに手を着いて海を覗いてもさっきの大物がいるわけでもなく、虚しい波の響きが聞こえるだけ。
超大物を取り逃がして悔しくて仕方がない!

「ば~か、あれはサメだ」

祐さんは軽く私に拳骨を落して夢も希望も無い事を言う。
酷〜い!と文句を言うと、佑さんはほら、と置き去りになってたタモを指さした。
なに?と膨れながら見るとそこには50cm近い鯛がいた!

「鯛だ!おっきい!」

「マグロは無理だがこれで機嫌直せ」

さっき佑さんが格闘してたのはこれだったんだ。
角さんもやってきてどれどれとその鯛を持ち上げる。

「おお!これは大物だな!私でも滅多にお目にかかったことがない」

「すごい!祐さん!」

大きい鯛を初めて見て嬉しくなって祐さんに抱きついた。
ほんとは自分で釣りたかったけどまあいいや。
立派な鯛でお祝いできるのは嬉しいし。

でも、マグロも釣りたかったなあ~。

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