浅葱色の約束。




「ん?見ーひん顔やな。どこの小僧や?」



やっぱり親子だ…。

朔太郎と同じこと言ってくる。



「こいつは近藤さんのところの子です」


「ほう、近藤と言えば……新撰組か」



興味深く見つめられるが、私はこの男の視線が良いものだとは思わなかった。

いつもガキ大将の朔太郎は敬語を使い、煩いくらいの京詞もどこか空に消えてしまったよう。


すると男は皮肉に笑う。



「あんな人斬り集団、凄くも何とも無いわ。」



───…人斬り集団。


この町で彼等がそう呼ばれていることは少しだけ知っていた。

毛嫌いされていることも、知っていた。


それでもあの人達はただ真っ直ぐに走っていて、いつからかそんなものが私の誇りにもなっていて。

そして私の安心出来る場所は新撰組。


だからこそ人斬りなんて言われたくない。



「て、訂正…してくれませんか」


「なにを訂正することがあんねん」



気付けば私はその男の正面に立ち、真っ直ぐに見つめていて。

頭の中には彼等の笑顔があった。



「人斬りって言ったこと……訂正、してください」



人斬りなんかじゃない、私の大事な人達。

初めて私の名前を呼んでくれて、初めて笑顔をくれた人達。

ただいまって言える場所を私にくれた人達だ。


ふつふつと沸き上がるそれは、どうにもおさまってくれる気配がなかった。



「あの人達は人斬り集団なんかじゃ…ない。なにも知らないくせに……い、言わないでください」



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