パンデミック.新形コロナウイルス
千葉大学病院や東大病院のような、日本の医療を支える巨大な砦。その輝かしい名称の裏側、白亜の壁のさらに奥深く、誰の目にも触れない「暗部」が隠されているという噂がある。
表向き、それは最新の感染症対策や、高度なウイルス研究のための施設とされている。パンデミックが叫ばれ、HIVや未知のウイルスを扱う隔離棟が次々と増築されたとき、世間はそれを「安全のための処置」だと信じた。だが、それは真実の半分でしかない。
巨大な病院の地下深く――そこには、公式な図面には決して記載されない階層が実在する。
エレベーターの操作盤には存在しないボタン。特定のカードキー、そして限られたスタッフだけが降りることのできる深淵。そこは、助かる見込みのない者、手術を待つ者、そして社会から「隔離」されるべき者たちが、文字通り追いやられる場所だ。
「ここから先は、地上には存在しないものとして扱われる」
看護師たちは、事務的にそう告げる。地上の病室が清潔で、穏やかな希望に満ちているなら、その地下病室はただ静寂と諦念だけが支配する場所だ。ウイルスという目に見えない脅威を、地上の「正常な日常」から完璧に遮断するため、病院は地下を強化し、巨大な檻を作り上げた。
人々は信じている。自分たちが通うその病院は、すべてがクリーンで、すべてが救済のためにあるのだと。地下にそんな場所はないと、あるいはあってもそれは無機質な資材置き場か、空調設備の一部だと自分に言い聞かせている。
しかし、夜、病院の建物を遠くから眺めてみてほしい。
地上の窓には、希望に満ちた灯りが点っている。だが、その足元の地中深く、海に近い病院であれば波の音すら届かない孤独な深層に、決して地上には上がってこられない人々の「沈黙」が積み重なっている。
僕たちが知る「医療」という名の社会システムは、この地下の犠牲によって成立している。秘密にされているのではない。あまりに巨大で、あまりに絶望的だからこそ、社会全体が「存在しないこと」に決めているのだ。
真実を知る者は、白衣を纏ったまま、地下へのエレベーターに乗り込む。扉が閉まり、下降する重力が胃のあたりを締め付けるとき、地上の喧騒は嘘のように消え去る。そこには、ただ死の気配と、隔離された人々の静かな呼吸だけが、東京や千葉の地下深くで、誰にも知られずに脈動している。
この事実は、決してニュースにならない。
病院の地下で今日も行われているその「追放」は、誰の耳にも届かないまま、今日もまた、精密な感染対策の裏側で繰り返されているのだ。
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