パンデミック.新形コロナウイルス
ストレッチャーで運ばれたあの場所は、まるでファストフード店のフードコートのようだった。料理ができあがったらあの変な呼び出しブザーが鳴るみたいに、麻酔から覚めかけた体で廊下に押し出され、エレベーターホールで待たされる。そこで、同じようにストレッチャーに乗せられていたニコルとすれ違い、交代するように別の人間が運ばれていく。
結局、あの手術室の看護師たちがやっていたのは、患者の世話というよりは、ただ機械的に次の客をさばく作業でしかなかった。自分で動けない人間をきちんと病棟まで送り届けることすらせず、あとは病棟から迎えに来るのを待つだけのシステム。そんな冷え切った構造のなかで、ただ目の前を通り過ぎていった光景だけが、妙に生々しく記憶にこびりついている。
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