パンデミック.新形コロナウイルス
いくら手術室の冷徹なシステムや理不尽な構造に直面しようとも、人間の現実を支えているのは、突き詰めれば「メンタル」という極めて繊細で強靭なバランスにほかならない。麻酔の霧のなかで揺らぎ、温もりによって救われ、あるいは依存していくその心こそが、私たちが世界を受け止める唯一の錨なのだ。
だが、そのかけがえのないメンタルを、あとの世に現れた新型コロナウイルスという見えない災厄が音を立てて破壊し尽くした。
人と人との距離を引き裂き、触れ合うことや互いの温度を感じ取る機会を奪い去ることで、あの病院のベッドの上で辛うじて保たれていたような、人と人との間の微温的なつながりや心の救済さえも根こそぎ押し流してしまった。心を守るはずの絆や余白が失われたとき、人間の精神がいかに脆く崩れ去るのか――その残酷な現実を、私たちは思い知らされることになったのだ。
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