パンデミック.新形コロナウイルス
その不器用なヨーグルトの一件を境に、私たち二人はただの「病院仲間」から、誰の目にも明らかな恋人同士へと変わっていった。
世間一般の青春ドラマのように、きらめいた学校の廊下で告白し合ったわけではない。抗がん剤の匂いが染み付いた地下の病室、白亜の檻のような空間のなかで、私たちは互いの存在だけを救いにして結ばれた。
ただ、ふと気付けば頭に浮かぶパラレルな風景がある。もしもこの物語の別の世界線――いわゆる「山手線的小説」のように、あかりがもし外の世界へ出て、中学時代に過酷ないいじめを受けながらも桜座高校へと進学していたとしたら……。同じ登場人物でありながら、全く異なる運命のレールを歩むもう一つの世界線が存在する。
こちらの物語では、あかりが外へ行くことはない。彼女はどこへも行けず、ずっとこの院内学級の小さな机と地下の病棟で勉強を続ける。
同じ魂を持ちながら、異なる軌道を描くパラレルな物語たち。一つの登場人物が、別の場所、別の現実でどのような痛みや愛を抱えているのかを見据えることこそが、この東洋物語という構造の、何物にも代えがたい深みと面白さなのだ。
世間一般の青春ドラマのように、きらめいた学校の廊下で告白し合ったわけではない。抗がん剤の匂いが染み付いた地下の病室、白亜の檻のような空間のなかで、私たちは互いの存在だけを救いにして結ばれた。
ただ、ふと気付けば頭に浮かぶパラレルな風景がある。もしもこの物語の別の世界線――いわゆる「山手線的小説」のように、あかりがもし外の世界へ出て、中学時代に過酷ないいじめを受けながらも桜座高校へと進学していたとしたら……。同じ登場人物でありながら、全く異なる運命のレールを歩むもう一つの世界線が存在する。
こちらの物語では、あかりが外へ行くことはない。彼女はどこへも行けず、ずっとこの院内学級の小さな机と地下の病棟で勉強を続ける。
同じ魂を持ちながら、異なる軌道を描くパラレルな物語たち。一つの登場人物が、別の場所、別の現実でどのような痛みや愛を抱えているのかを見据えることこそが、この東洋物語という構造の、何物にも代えがたい深みと面白さなのだ。