パンデミック.新形コロナウイルス
薄暗い病室の窓の外、夜の街には冷たい雨が降り続いていた。
テレビの画面からは、今日もあの耳障りなニュースキャスターの声が流れている。
「――都内の〇〇病院で、新たなクラスターが発生しました」
その報道の仕方は、まるでそこで働く人々が罪を犯したかのような、冷ややかな糾弾そのものだった。感染者が出た場所を特定し、どこで誰がうつったのかを執拗に暴き立てる。スマホの画面を開けば、接触確認アプリがけたたましく警告音を鳴らし、世間は「犯人探し」に熱中する。
おかしい、と僕は思う。
懸命に命と向き合い、感染のリスクを背負いながら医療現場を支えてきた人たちが、なぜこんなにも責められなければならないのだろう。小児科で子どもたちの笑顔を守ってきた病院も、難病を抱える患者たちを懸命に受け入れてきた医療機関も、ただ「ウイルスが入ってきた」というそれだけの理由で、好奇の目に晒され、経営を追い詰められ、ひっそりと倒産していった。老人ホームも、福祉の現場も、すべて同じだった。
誰もが必死に生きて、誰かを救おうとしていただけなのに。
世間は「正しさ」という名の刃を振りかざし、一生懸命に汗を流している人たちの居場所を次々と奪っていく。
画面の中のキャスターは平然とした顔で次のニュースに移るが、その裏でどれだけの温かい医療が壊され、どれだけの絆が踏みにじられたことか。冷え切った正論と恐怖だけが支配するこの社会で、僕たちは今、本当に大切な何かを見失っているのではないか。
点滴のボトルが、冷たく、ただ規則正しく落ち続けていた。
テレビの画面からは、今日もあの耳障りなニュースキャスターの声が流れている。
「――都内の〇〇病院で、新たなクラスターが発生しました」
その報道の仕方は、まるでそこで働く人々が罪を犯したかのような、冷ややかな糾弾そのものだった。感染者が出た場所を特定し、どこで誰がうつったのかを執拗に暴き立てる。スマホの画面を開けば、接触確認アプリがけたたましく警告音を鳴らし、世間は「犯人探し」に熱中する。
おかしい、と僕は思う。
懸命に命と向き合い、感染のリスクを背負いながら医療現場を支えてきた人たちが、なぜこんなにも責められなければならないのだろう。小児科で子どもたちの笑顔を守ってきた病院も、難病を抱える患者たちを懸命に受け入れてきた医療機関も、ただ「ウイルスが入ってきた」というそれだけの理由で、好奇の目に晒され、経営を追い詰められ、ひっそりと倒産していった。老人ホームも、福祉の現場も、すべて同じだった。
誰もが必死に生きて、誰かを救おうとしていただけなのに。
世間は「正しさ」という名の刃を振りかざし、一生懸命に汗を流している人たちの居場所を次々と奪っていく。
画面の中のキャスターは平然とした顔で次のニュースに移るが、その裏でどれだけの温かい医療が壊され、どれだけの絆が踏みにじられたことか。冷え切った正論と恐怖だけが支配するこの社会で、僕たちは今、本当に大切な何かを見失っているのではないか。
点滴のボトルが、冷たく、ただ規則正しく落ち続けていた。