パンデミック.新形コロナウイルス
テレビから流れるアグネスちゃんの言葉を聞きながら、僕は胸の奥が締め付けられるような切なさを覚えていた。
海外から来た彼女が、これほどまでに人間同士の温もりや、血の通った愛の本質をまっすぐに語っているというのに――。では、本来は「思いやり」や「和の心」を大切にしてきたはずの私たち日本人は、いつの間にそんな大切な日本的な文化や、人と人との深いつながりを失ってしまったのだろう。
効率や体面を気にするあまり、誰かが困っていても「関わらないでおこう」と目を背け、無機質なマニュアルや冷たい正しさだけを盾にする。そんな風潮が当たり前になってしまった今の世の中を見ていると、どうしようもなく情けなく、息が詰まる思いがする。
だからこそ、僕はどこかで中国や韓国の人たちの持つ、あの熱っぽくて泥臭いまでの人間関係に惹かれてしまうのだ。困っている人がいれば、損得勘定抜きで声をかけ、自分のことのように世話を焼き、時にはおせっかいなほどに親切にしてくれる。そんな「生身の人間の温もり」が、今の日本の街からはどんどん失われている。
病院の冷たい無菌室のようなシステムも、人間関係のギスギスした空気も、すべては私たちが「人間愛」を忘れてしまった代償なのだろう。
続くこの不条理な時代の中で、僕たちはもう一度、あの病室で明りたちと分かち合ったような、不器用でも熱い「手の温もり」を取り戻さなければならないのだ。
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