パンデミック.新形コロナウイルス
桜坂高校に巣食う変態教師・上松には、隠し切れない噂があった。彼は、担当する同じ高校2年の生徒・あんなと交際しているというのだ。
あんなの家庭事情は複雑だった。両親はすでに離婚しており、残された父親は日常的に彼女へ暴力を振るうという荒れた環境にあった。そんな家庭の闇を抱えるあんなに対し、上松は教師という立場を越えて深く関わりを持つようになり、いつしか彼女を愛するようになっていった。母親ではなく、あんな自身に惹かれてしまったのだ。
常識の通じる世間一般の基準で考えれば、教師と生徒の恋愛、さらに未成年に対する関係は一発で大問題となり、即座に警察沙汰へ発展するスキャンダルである。
しかし、この桜坂の周辺と、あの病院の地下に広がる閉ざされた空間において、そんな世間の常識や警察の介入など一切通用しなかった。黒い秘密や歪んだ関係を飲み込んだまま、警察の影すらも立ち入ることのできない、法も倫理も届かないブラックボックスとして、その場所は奇妙に機能し続けていた。
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