パンデミック.新形コロナウイルス
夏美に顔の周りを愛おしげに舐められている、その至福の最中だった。
病室の扉を激しく叩く、不穏な音が響いた。
「おい、うちの夏美はどこだ! 隠してんだろ、出せよ!」
血走った声とともに投げかけられた怒声に、それが夏みの両親であることを悟った。かつて彼女を虐げ、傷つけ続けた張本人たちの影が、この静謐な聖域にまで土足で踏み込んできたのだ。
その瞬間、夏みの顔色から血の気がサーッと引いていく。身体を小刻みに震わせ、恐怖に怯える彼女を見て、僕は反射的に動いていた。
「早く、ここに……!」
僕は夏みを引っ張り、ベッドの下の暗がりへと滑り込ませる。自分もその後を追うように狭い空間へと身を潜めた。
扉の向こうの足音が近づく。絶体絶命の気配を察知したあかり、ニコル、南ちゃんの三人が、一言の合図もなく素早くドアの前に立ちはだかった。彼女たちは全体重をかけて内側から扉を押さえ、侵入を阻止する壁となる。
「なんだよ、勝手に入ってくるな!」
「ここには誰もいないって言ってるでしょ!」
三人の気迫に押され、扉の向こうの男が苛立ちを募らせてさらに体当たりを浴びせる。ギギギと重い音が鳴り響き、いつ破られるとも知れない緊迫した暗闇の中で、僕は震える夏みの肩を強く抱き寄せ、息を潜めてその時をやり過ごした。
病室の扉を激しく叩く、不穏な音が響いた。
「おい、うちの夏美はどこだ! 隠してんだろ、出せよ!」
血走った声とともに投げかけられた怒声に、それが夏みの両親であることを悟った。かつて彼女を虐げ、傷つけ続けた張本人たちの影が、この静謐な聖域にまで土足で踏み込んできたのだ。
その瞬間、夏みの顔色から血の気がサーッと引いていく。身体を小刻みに震わせ、恐怖に怯える彼女を見て、僕は反射的に動いていた。
「早く、ここに……!」
僕は夏みを引っ張り、ベッドの下の暗がりへと滑り込ませる。自分もその後を追うように狭い空間へと身を潜めた。
扉の向こうの足音が近づく。絶体絶命の気配を察知したあかり、ニコル、南ちゃんの三人が、一言の合図もなく素早くドアの前に立ちはだかった。彼女たちは全体重をかけて内側から扉を押さえ、侵入を阻止する壁となる。
「なんだよ、勝手に入ってくるな!」
「ここには誰もいないって言ってるでしょ!」
三人の気迫に押され、扉の向こうの男が苛立ちを募らせてさらに体当たりを浴びせる。ギギギと重い音が鳴り響き、いつ破られるとも知れない緊迫した暗闇の中で、僕は震える夏みの肩を強く抱き寄せ、息を潜めてその時をやり過ごした。