わたしのヒカリ

はると「もう一つ行きたい場所があるんだけど、いいかな?」

「うん?私はいいよ?」


私が返事するとはるとくんは立ち上がり手を差し出した
私は迷わずその手を取り、ゆっくり歩き出した


「どこ行くの?」

はると「俺の一番好きな所!!」


はるとくんの顔はとても穏やかで、でも少し寂しそうに見えた

私達の間にはそれ以降会話はなかった
でも、とても心地よかった


30分程歩いてようやく着いた


はると「疲れた?」

「うんん。大丈夫だよ!」

はると「そっか。ねえ、宮下?みて?」


私ははるとくんの指差す方をみた


「うわーっ!!!すごいっ!!!」

はると「だろ?俺、この景色がスッゲー好きなんだよね」

「すごく綺麗…今まで悩んでた事がとてもちっぽけに感じる」

はると「うん。俺も。だから何かあるといつもここにきてたんだ」


私達は、少しの間その景色を眺めていた


はると「宮下、聞いてほしい事がある」


はるとくんは景色を見たまま話しかけてきた


「なに…?」

はると「俺さ、もう無理っぽいんだわ」

「…え?」

はると「なんかさ、、、思ったより進行早くて」

「…」

はると「だからさ、宮下にお願いがあるだ」

「…うん」

はると「俺の事、、、忘れないで」


はるとくんは少し困ったように笑った

私は静かに涙を流した


はると「泣かせたかった訳じゃないんだけど、ごめんね?俺、死ぬのは怖くないんだ。でも、忘れられるのがめっちゃ怖くてさ…かっこわりぃーよな」

「そんな事ない!!」


はるとくんは、急に大きな声を出した私にびっくりしていた。
でも、すぐに微笑み「ありがとね」と一言いった


私ははるとくんの手を握った。


「大丈夫。何があっても私ははるとくんの事わすれないから。」

はると「ありがとう」


はるとくんの目から一筋の涙が流れた


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