3分遅れのアンダンテ



祈先輩に渡すプレゼントはバッチリ。



前に甘いものが好きだと言っていた先輩には、手作りのクッキーを焼いた。



お菓子作りは小さい頃からお母さんと一緒に作っていたおかげで得意。



「ちょっと、奏音ったら緊張しすぎだよ」



「緊張するよ、当たり前じゃん…」



頼んで届いたばかりのドリンクは、ストローと氷を残してすっからかんになっていた。



緊張のせいで喉が渇いて仕方がないんだよ。



誰しも1回くらいはそんな経験をしているはず。



「そろそろ時間だね」



「うん……」



予定時間の30分前。



駅は目の前にあるし、祈先輩のいる駅まではここから10分程。



少し余裕を持って着くことができるはず。



「じゃあ、そろそろ行くね」



「頑張れ奏音!応援してる!」



絵梨に見送られて、時間通りに来た電車に乗り込んだ。


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