3分遅れのアンダンテ
「……あれ?」
順調に走っていた電車のスピードが徐々に遅くなる。
そしてやがて線路のど真ん中で止まった。
電車の車内にはそれなりに人が乗っていて、乗車している人々はざわつき始めた。
何なに、一体どういうこと?
ここはまだ駅ではない。
普通ならば停車しないところ。
違う電車がすれ違う様子もない。
「──ご乗車されている皆様にご連絡致します」
しばらくしてアナウンスがかかり、車内は静まった。
「この先の──駅で事故があったため、ただいま運転を見合わせております。安全が確認でき次第運転を再開致します。お急ぎの皆様にはご迷惑お掛けしますが、今しばらくお待ちください。えー、繰り返します……」
このアナウンスを聞いた乗客からは、「またかー」なんて呆れた声や「どれくらいかかるんだろう」と心配の声も聞こえた。
ふとスマホで時間を確認する。
今の時刻は午後2時40分。
祈先輩が出発してしまうまで、あと20分。
どうか、どうかそれまでに間に合って。