もう誰かを愛せはしない
礼羽は鎖の切れたネックレスとリングを手のひらに乗せ、暫く見つめると




空に向かって

それを投げた……








「…ライハ…」




キラキラと輝きを放ちながら彼を縛り付けていたリングは空を舞い、屋上の下へと落ちて


消えた…








「…俺さ、前にメイサを好きになった理由を『ユウキに似てたから』って言っただろ?」



屋上の下に落ちていったリングを見つめながら、礼羽は呟く。




「…うん。あれかなりショックだった」


「あの言葉には続きがあるんだよ。なのにお前、途中で逃げっから」



続き?

まだショックを受けさせる気!?




「…聞きたくない」

「聞け」

「やだ!聞きたくない!!」

「いいから聞け!」



耳を塞ぐ私の手を無理矢理払いのけた礼羽を見ると、礼羽は優しい顔をしていた。


さっき泣いたからか目が赤い。





「ユウキに似てたんだよ。メイサといる時感じた感情が…」



感じた感情…?




「わかんない?俺の言ってること」


「…うん。わかんない」


「メイサとユウキは見た目も性格もまるっきり違うんだよ。似ても似つかないほど正反対。

でもメイサといてメイサに感じる気持ちが、ユウキを好きだと思った気持ちに似ていた。
だからメイサの事が好きなんだって気付いたんだよ」


「…嬉しいような複雑なような…」


「何で複雑なんだよ」


「だって…ユウキさんと同じくらいの好きだったってことでしょ?私はユウキさんに勝ちたかったもん。…だから複雑」



あ。

また礼羽を困らせちゃうこと言っちゃった…。




…まぁでも

礼羽が解放されたからって私とヨリが戻るワケじゃないからいいか…。
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