もう誰かを愛せはしない
「家の前で倒れていたらしいのですが、発見されたのが遅く…ここに運ばれて来た時にはもう…」



真っ白な壁

真っ白なカーテン

真っ白いな服を着た医師




真っ白な顔をした

おじいちゃん…






「…嘘でしょ…?だって私…数時間前に…話してたんだよ?」



屋上にいた時、礼羽の携帯が鳴った。



その電話は

おじいちゃんの死を知らせる電話だった…。





私と礼羽はその電話を受けた後

新幹線に乗って指定されたおじいちゃんの家の近くの病院へ駆け込んだ。




そして今、私と礼羽の目の前のベッドには真っ白な顔をしたおじいちゃんが眠っている。






笑顔が優しくて
色んな話をしてくれて

いつも礼羽と私のことを想っててくれたおじいちゃん。



そのおじいちゃんは

もう動かない。




「…はっ、嘘だろ?…寝てるだけだよな、じぃちゃん…」



礼羽はおじいちゃんの手首を掴むと、脈を測っているのか暫くそのままでいた。
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