もう誰かを愛せはしない
「…何でだよ…。何で俺が医者になるまで待っててくれないんだよ…」


「ライハ…」


「もう…大切な人を失うのが嫌だったから医者になろうと思ったのに…!何でだよ!!あと…もう少しだったのにっ…」



おじいちゃんの冷たい手を握り締めながら泣き叫ぶ礼羽の頭を抱き寄せた。




「じぃちゃん!せめて文句くらい言わせろよ!!手紙、今頃渡しやがってって…文句を言わせろぉぉぉ!!!!」



礼羽はおじいちゃんの手を額に付けると、声をあげて泣き出した。







こういう時、何て言葉を掛けたらいいんだろう……



下手な慰めや気休めは

余計礼羽を悲しませるだけだ。





でも

抱きしめてあげるしか出来ないなんて嫌だよ…








そうは思っても何も出来ない私は、ただ泣きながら礼羽を抱きしめていた。
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