もう誰かを愛せはしない
「明日は記念日だし私の誕生日だから、奮発してハンバーグにしようね」


「ハンバーグって言ってもお前、牛肉じゃなくて豚肉買ったろ」


「だって牛肉って高いんだもん。牛肉も豚肉も変わらないよ」


「そういう問題か!?」



こねて焼いちゃえば牛も豚も同じだって。

大丈夫、大丈夫。





不安そうな顔をする礼羽の隣りで、明日作るハンバーグのレシピを頭の中で考えていた。



あっ…。

ケーキどうしよう。




明日バイトだから、バイト先のケーキテイクアウトしようかな?


あぁ…でもお金が…。




「メイサ、明日バイト何時まで?俺は22時半までだけど」

「私は21時までだから、ご飯作って待ってるね」

「わかった。急いで帰るからいい子で待ってろよ」



礼羽はそう言うと、私の頭をポンポンと撫でた。




いい子でって…。

子ども扱いしやがってぇ〜…



でも、まぁいっか。





「何、ニヤニヤしてんだよ」

「ん?…ライハといられて幸せだなぁって思って」

「お前なぁ…。そう言う可愛い事は…」



礼羽はそこで言葉を区切ると、私から顔を逸らした。



ふふっ…。
照れちゃって。



「可愛い事は俺にしか言うなって?」

「わかってんなら言うな!」




特に何処に行くでもするでもないこんな休日も

礼羽といれば幸せなんだと改めて思った。
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