もう誰かを愛せはしない
礼羽と手を繋ぎながらスーパーに向かうと、スーパーはもう開店していた。


あれ?

のんびり歩きすぎたかな?




「ライハっ…早く行こう!」



私達は沢山の奥様方で混雑する店内に駆け込んでいった。



もちろん、出遅れた私達はチラシの特売品を確保することが出来ず、いつもの値段の商品を買うハメになった。




「…日曜日だけは開店が8時半だって事、すっかり忘れてたね」

「あぁ。でも主婦ってすげーな。こんな朝っぱらから、よくあんなに必死こいて買い物出来るよな」



人込みに揉みくちゃにされた私と礼羽は、少しゲッソリしながら家までの道を歩いていた。



礼羽の左手と私の右手を繋いで、反対の手で一緒にスーパーのビニール袋を持って。





特別な風景なんかじゃない。

いつもと何も変わらない風景。



礼羽がいて
私がいて

手を繋いで…





だけどなんだか今日は

幸せな気持ちに包まれていた。
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