もう誰かを愛せはしない
そんな異様な匂いがする家に礼羽が帰ってきた。



「おい、何かこの世のものとは思えない匂いがすっけど…」


「おかえり、ライハ。何だろうね、この匂い」


「メイサ、変なもん作ったんじゃねぇの?」



普通のハンバーグを作ってただけだけど。


ソース入れすぎたのかな。




くさい、くさいと連呼する礼羽を見ながら部屋の窓を開けた。



「あっ!」

「何だよ」



匂いが充満していたワケがわかったよ。


私はそそくさとキッチンに戻ると換気扇を回した。





「メイサ、お土産」



異様な匂いから解放され、料理をお皿に盛っていると礼羽がやってきた。




「何?」



礼羽が持っているのは白い小さな箱。


箱を開けると、中には小さなケーキが入っていた。




真ん中には『Happy Birthday Meisa』と書かれたチョコのプレートが飾られている。
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