もう誰かを愛せはしない
どうして一度きりの優しい嘘を許してあげられないんだろう。



きっと私はそれくらい礼羽が好きなんだ。




礼羽は私をユウキさん程、好きじゃなくても…





「…ライハ、待ってよ」



私は礼羽の服の裾を掴むと、礼羽の後ろをついて歩いた。



礼羽は無言のまま前を向いている。




「…ごめんね。ライハは辛い事なのに話してくれたのにね…。ごめんなさい」



謝っても礼羽は何も反応してくれない。

そんなに怒ってるの?





「ライハ…。私はライハが大好きだから離れたりしないよ。…いつかライハの中にいるユウキさんの存在に勝ってみせるから」



勝てるかわからないけどね。

だってユウキさんはもういない。



何をどうしたら勝てるかなんて、わからないもの。




でも…礼羽の中の1番になりたいって思うから…





礼羽は足を止めると体を私に向けた。


月明かりに照らされて礼羽の綺麗な顔が青白く暗闇に浮かぶ。




「ライハ?」



私が礼羽の顔を見つめると、礼羽はギュッと私の体を抱き締めて囁いた。




「…もう勝ってる」




そう囁かれた瞬間、涙が込み上げてきた。
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