もう誰かを愛せはしない
じゃあ…
礼羽もそうだったのかな?



ユウキさんが忘れられなくても、私を好きになってくれたのには特別な理由なんかなくて



“ただ、惹かれた”


それだけだったのかな。





だとしたら私
礼羽に酷い事言ったよね…。





「メイサ、一回考えるのやめてさ、ちょっと休んでみたら?元彼の事とか色々悩んでるみたいだけど、本当はもっとずっと簡単な事なのかもしれないよ?」



翔介は穏やかに笑うと、ポンポンと優しく頭を撫でてくれた。




「…ありがとう、ショウスケ」



礼羽の姿が見えないからって、礼羽の事ばかり考えてちゃダメだ。


私にはこんなに優しい人がいる。



神様がくれた出会いを大切にしなきゃね。






ファミレスから出た後、私は翔介の手を握った。


翔介は一瞬驚いた顔をしたけど、すぐに顔を真っ赤に染めて繋いでいる手に力を込めてくれた。




この手には欲しいものが詰まっている

そう思った。




「メイサの手、小さいね」

「ショウスケが大きいんだよ」



夕日に染まる街には、サラリーマンや女子高生、ママチャリに跨った主婦が沢山いる。




その中を手を繋いでいる事が何だか照れくさくて、2人して顔を真っ赤にしながら駅までの道を歩いていた。
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