シンデレラの網膜記憶~魔法都市香港にようこそ
翌日、部屋に帰ったタイセイは、何よりも先に清潔に選択されて上品にたたまれたワイシャツの胸ポケットを探ってみた。彼の期待通り、そのポケットにメモが潜んでいた。
『エラよ!タイセイは日本に帰っていなかったの?なんで、そんなところに居るの?』
今度はタイセイがエラとの再会の喜びに打ち震える番だ。
彼は泣きはしなかったが、再会の興奮に後押しされて、息せき切ってここに来た顛末を書き記す。なんせ、隠せるメモの大きさも限られているので、自分でも飽きれるくらいの小さな文字で書く必要があった。
書き終わると、今度メモを隠す衣類を物色した。ベッドに脱ぎ捨てられたソックスが目についが、今日はいていたものに入れるのは、メモに臭いがうつりそうな気がする。エラに不快感を与えたくないと、新しいソックスにメモを入れた。自身の人生を決める非常事態だというのに、エラへの体裁を気にするなんて…。
翌日、タイセイが部屋に帰ると早速ソックスを確認。今度もメモを発見した。
『だいたい、状況は飲み込めたわ。大変なことになっているのね。で、私に何して欲しいか言ってちょうだい。追伸 真新しいソックスを洗濯かごに入れるのは不自然よ』
メモを読みながら、タイセイはエラの冷静さを頼もしく思った。
『日本総領事館に逃げ込みたい。この家を抜け出すのを手伝ってほしい』
そう書き記すと、はいていたソックスを脱ぎ捨て、今度は躊躇なくメモを投げ入れる。
『わかった。明日の晩御飯は絶対に食べないでね。おなかすくけど我慢よ。今日の夜ご飯は力がつくものを準備するからね』
翌日その返事を受け取ったタイセイは、その夜用に準備してくれたエラの夕食を腹いっぱい食べた。明日の夜、エラが何かを起してくれる。その後はいつ食べられるかわからない。しかし、次の食事は必ずエラと笑いあいながら食べるのだと、心を奮い立たせた。
〈九龍城砦〉
ドラゴンヘッドの携帯電話が鳴った。彼の携帯はスマホではない。ガラケーなのだ。今時ガラケーとは思うのだが、彼の弱った目では、アプリなど到底使いこなすことはできない。携帯を開き、耳に当て報告を聞くと、周りで聞く人の耳にあたるような大声で矢継ぎ早に指示を出した。
「息子さん…やはり、総参謀部第二部の連中に拉致されたようだな」
ドラゴンヘッドは携帯を閉じながらモエに伝える。
『エラよ!タイセイは日本に帰っていなかったの?なんで、そんなところに居るの?』
今度はタイセイがエラとの再会の喜びに打ち震える番だ。
彼は泣きはしなかったが、再会の興奮に後押しされて、息せき切ってここに来た顛末を書き記す。なんせ、隠せるメモの大きさも限られているので、自分でも飽きれるくらいの小さな文字で書く必要があった。
書き終わると、今度メモを隠す衣類を物色した。ベッドに脱ぎ捨てられたソックスが目についが、今日はいていたものに入れるのは、メモに臭いがうつりそうな気がする。エラに不快感を与えたくないと、新しいソックスにメモを入れた。自身の人生を決める非常事態だというのに、エラへの体裁を気にするなんて…。
翌日、タイセイが部屋に帰ると早速ソックスを確認。今度もメモを発見した。
『だいたい、状況は飲み込めたわ。大変なことになっているのね。で、私に何して欲しいか言ってちょうだい。追伸 真新しいソックスを洗濯かごに入れるのは不自然よ』
メモを読みながら、タイセイはエラの冷静さを頼もしく思った。
『日本総領事館に逃げ込みたい。この家を抜け出すのを手伝ってほしい』
そう書き記すと、はいていたソックスを脱ぎ捨て、今度は躊躇なくメモを投げ入れる。
『わかった。明日の晩御飯は絶対に食べないでね。おなかすくけど我慢よ。今日の夜ご飯は力がつくものを準備するからね』
翌日その返事を受け取ったタイセイは、その夜用に準備してくれたエラの夕食を腹いっぱい食べた。明日の夜、エラが何かを起してくれる。その後はいつ食べられるかわからない。しかし、次の食事は必ずエラと笑いあいながら食べるのだと、心を奮い立たせた。
〈九龍城砦〉
ドラゴンヘッドの携帯電話が鳴った。彼の携帯はスマホではない。ガラケーなのだ。今時ガラケーとは思うのだが、彼の弱った目では、アプリなど到底使いこなすことはできない。携帯を開き、耳に当て報告を聞くと、周りで聞く人の耳にあたるような大声で矢継ぎ早に指示を出した。
「息子さん…やはり、総参謀部第二部の連中に拉致されたようだな」
ドラゴンヘッドは携帯を閉じながらモエに伝える。