痛み無しには息ていけない
「じゃあ、小川と高橋は今日は段ボールの組立な」

「はーい」

「うぃー」


渡辺さんの指示に、沙織は真面目に、自分は適当に答えた。
そのまま、自分らの仕分けチームの集まる場所まで移動し、全員で準備運動する。

自分のいる仕分けセンターでは、担当する地域別に4つのレーンに分かれて、煙草の仕分けをしている。
配送先の発注に合わせて煙草を選び箱詰めする、所謂ピッキングの作業がメインだ。
とにかく箱詰めする煙草の量がめちゃくちゃ多く、空調もなく屋外に繋がっている倉庫でめちゃくちゃ動くので、事前の準備運動と水分補給は必須だ。

今は3月頭だからむしろ寒いが、動き始めたらすぐに暑くなるし、4月半ば以降は地獄…らしい。
らしい。というのは、自分は去年の暮れくらいから働き始めたので、あくまで人伝に聞いた話だから。


今日、自分と沙織が担当になった段ボールの組立は、平たい状態の段ボール箱を、とにかくひたすら組み立てる作業である。
場合によっては、一度使われた段ボール箱を再利用する事もあるので、組み立てる段階で貼ってあるラベルは、誤送を防ぐ為に剥がす必要もある。
そうやって組み立てられた段ボール箱に、新たな発送先のラベルが貼られ、発注された数通りに煙草のカートンが詰められ、検品され、封をされ、トラックに積まれて関東各地に運ばれる訳である。


そんな環境で働いているからか、自分みたいな電子煙草の愛用者や、非喫煙者でも、勤務後には煙草の匂いが身体に移っている事が多い。
働いている人の中には、帰宅後に御家族の方に「煙草臭ーい」と、文句を言われてしまう人もいるようだ。


準備運動を終え、各自配置に移動する。
自分と沙織は、レーンの一番最初の部分まで移動し、段ボール箱を組み立て始めた。


「今日、一人少なくない?普段は3人じゃん」

「……確かに」


普段は3人で、黙々と段ボール箱を組み立てている。
自分達以外に、渡辺さんが誰かに組立を割り振っていると思ってたが…、どうやら違うらしい。
その分、今日の量が少なければ良いな…。
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