【修正版】クールで無表情な同期が十年間恋情を患っていた理由


営業部の扉をくぐり、自分のデスクに荷物を置く。

まだ就業時間前なのに、ぐったりとデスクに突っ伏した社員がちらほら見える。

いつもの光景だ。それこそ徹夜とか、深夜残業だって、安価でさせるのが、この会社だから。

「おはよう、富丘くん」

そんな空気を払拭する朗らかな挨拶。ドキリと胸が甘く鳴る。

「これ、部長から聞いてるよね? お願いします」

挨拶を返し振り向くと、同じ営業部所属の金里(かなざと)明日美(あすみ)に資料を手渡された。
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