私の初恋の相手は狼でした。
周りの街頭もついてなく、真っ暗の中、キデスにはよく見えているらしく
スタスタと展望台の入り口から、階段を上がって行く。

暗くて、階段が良く見えず、恐る恐る足を踏み出していると、
「怖いのか。」

こっちを振り返りながら、踊り場で、立ち止まって待っててくれる。
「暗くて、よく見えなくて、、」

「ほら。捕まれ。」キデスが数段降りてきて、手を差し出してくれた。

「あ、ありがとう」暖かくて、大きな手に鋭い爪。
優しく私の手を包んでくれる。

一歩、一歩、階段を上がり、一番上まで着くと、

パァンと、明るい花火が夜空に上がった。
< 10 / 11 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop