あやかしの集う夢の中で
「くらえ、サンダーアロー!」



愛理が放った電撃の矢はうなりをあげて、一直線に五メートル級の夢妖怪の額へと向かっていた。



そしてその電撃の矢は勢いよく五メートル級の夢妖怪の額に突き刺さり、夢妖怪は膝から崩れるように地面へと倒れ込んだ。



(やった!

まずは一体目!)



愛理は心の中でそう叫び、夢妖怪を倒したことをよろこぶと、すぐに次の夢妖怪へと目を向けた。



この強敵をすべて倒さない限りは舞の大切な夢へと続く道は開けない。



残り時間は限られている。



急がなくては……。



愛理のとなりでは桜介が炎の技を駆使して、夢妖怪と戦っていた。



そして愛理は改めて桜介の強さを目の当たりにし、夢の中の世界で無双の力を持つ桜介は誰よりも頼りなると感じていた。



「愛理、油断するな!

右側から敵が来てるぞ!」



愛理は桜介のその言葉を聞いて、右側に目を向けると、巨体の夢妖怪が振り回した巨大な鎌の刃を華麗なジャンプして回避した。



そして愛理はジャンプした姿勢のまま、流れるような動作で電撃の弓を構えて、弓の弦を引いていた。



「行け!

サンダーアロー!」



愛理はまた電撃の矢を放ち、その電撃の矢が夢妖怪の心臓に突き刺さった。



愛理は現実世界では感じることができない自分の強さに高揚し、ピンチの中で緊張感が張り詰めるこの時をドキドキしながら楽しんでいた。
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