あやかしの集う夢の中で
大切な舞の夢
「ここまで来たか、人間の魂よ。

我らが夢妖怪を相手にここまで来るとはたいしたものだ」



その小柄な子供のような夢妖怪はその容姿とは裏腹に、まるで自分が無敵であるかのように語り出した。



桜介と愛理は敵が発している不穏な雰囲気を感じ取り、敵の約五メートル手前で足を止めた。



そして目の前の小柄な夢妖怪をにらみつけ、戦闘体勢に入っていた。



「おい、お前は誰だ?

舞ちゃんの大切な夢から今すぐ離れろ!」



桜介が小柄な夢妖怪に向かってそう叫ぶと、小柄な夢妖怪は不気味に笑ってこう言った。



「我の名前はあやかしキング。

この世界の夢妖怪たちの王だ」



「あなたが夢妖怪たちの王?

そんなに小柄で子供みたいな姿なのに」



「我を侮辱するな、まな板娘。

子供なのはお前の方じゃ」



「ねぇ、ちょっとあんた!

今、私に絶対に言っちゃいけないことを言ったよね。

夢妖怪の王だか何だか知らないけど、今のセクハラ発言を絶対に後悔させてやるからね!」



愛理があやかし王にそう言うと、愛理の金色の髪が怒りで逆立ち始めた。



愛理の怒りのオーラは凄まじい。



愛理のとなりにいた桜介は、これからは愛理の小さな胸をからかわないようにしようと心に誓った。
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