あやかしの集う夢の中で
「じつはね、最近、嫌な夢ばかり見てしまうの。

だからよく眠れなくて……」



そう言った舞の言葉に元気がなかった。



桜介はそんな舞を心配して話しかけた。



「ねぇ、舞ちゃん。

嫌な夢って、どんな夢かなぁ？」



桜介はかなりいい加減な男だが、友達思いで優しい。



だから舞の冴えない表情を人一倍心配していた。



そんな桜介を初めとするオカルト部のメンバーたちは、舞を心配しながら、舞の次の言葉を待っていた。



「ピアノのコンクールの夢を見るの。

私が夢の中でピアノを弾き始めると必ずトラブルが起きてしまうの。

コンクールの会場が火事になったり、ピアノが急に壊れて音が出なくなったり、演奏中に私が暴漢に襲われたり……。

来月にピアノのコンクールがあるから、それを意識しすぎているのかなぁ。

でも、こんなに悪い夢ばかりが続くと、本当に暗い気持ちになってきて……」



舞はオカルト部に所属していたが、その一方で吹奏楽部にも所属していた。



生粋のお嬢様である舞は三歳の頃からピアノを習っていて、将来、ピアニストになるのが舞の夢だった。
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