あやかしの集う夢の中で
「オレと愛理が仲良く見えるのは、オレたちが幼なじみだからでさ、オレは愛理みたいな男勝りなヤツよりカノンちゃんの方が断然……」



桜介が話している途中で愛理がまた桜介の頬をつねり、桜介はその痛さに飛び上がると、愛理の方を振り向いた。



「何するんだよ、愛理。

そんなんだから、いつまで経っても彼氏ができないんだぞ」



「大きなお世話よ!

私はね、桜介のその軟派でスケベな性格を心配してるの。

桜介を見てると、こっちまで残念な気持ちになっちゃうの」



そう言ってため息をついた愛理の気持ちに気づかないみたいに、桜介は癒し系のカノンの笑顔を見てよろこんでいた。



そんな桜介を愛理は静かに見つめながら、少しくらい桜介の浮わついた性格に変わってくれたらと思っていた。



桜介は人の気持ちを少しも理解しないで笑っているから……。



オカルト部の部室はいつものようににぎやかであったが、今日は少しだけ様子が違っていた。



オカルト部の癒し系担当のカノンが一番最初にその違和感に気づき、少し表情が冴えない舞に話しかけていた。



「あれっ、舞ちゃん。

今日は元気がないですね。

どうかしたんですか?」



桜介と愛理もカノンの言葉で舞の違和感に気づき、ちょっと伏し目がちな舞の顔を見つめていた。
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