青は奇跡
「階段、登るの?」
「うん」
「え、帰らないの?」
「帰りたかった?」
「いや、そういうわけじゃないんだけど……」
「ほら着いた」
「……ここ?」
なんの変哲もない、屋上に続く扉の前。
こんな所で何をするのだろう。
「ここ、入るぞ」
「屋上?」
「そうだけど」
「でも先生が入っちゃだめだって……」
「鍵開いているんだからいいだろ」
そう言ってわたしの手を取り屋上に入ってしまった。
いきなり繋がれた手にも初めての屋上にも緊張していたけれど、入った瞬間我を忘れた。
「……すごい」
「だろ?」
「うん、本当、すごい。
空が近くて、綺麗」
手を繋いでいることも忘れて空に見入っていると、急に目の前がシャツの白に覆われた。
「ごめんな、この前」
「……っ」
「本当、ごめん。
今日のことなんかで許してもらえるとは思ってねえけど、だけど、謝罪の意味も込めてここに来た」